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講演会・シンポジウム

日本語教育センターシンポジウム2025

日本語教育センターの活動の社会還元として、またセンターのFDの一環として、講演会、シンポジウムを開催しています。

正規学部留学生受け入れの新時代4
       ー『新たな』正規学部留学生のキャリア支援と日本語ー

*シンポジウムのチラシはこちら

日  時 2025年7月19日(土)13:30~16:30
場  所 池袋キャンパス11号館3階A304教室
主  催 日本語教育センター
共  催 国際化推進機構、法学部、異文化コミュニケーション学部(~学部公開講演会『言語と社会や文化を<つなぐ>:世界と切り結ぶ異文化コミュニケーション』の一環として~)、GLAP
登壇者 中村 拓海氏 (株式会社ソーシャライズ代表)
松井 秀征 (国際化推進機構長、GLAP運営センター長、法学部教授)
田岡 絵理子 (法学部教授)
アリサ・タン・シャウニン氏
 (本学卒業生、アクセンチュア株式会社勤務)
アレクサンドラ・チェン・ウェイミン氏
 (本学卒業生、Build Plus株式会社勤務)
総  括 小澤 康裕 (日本語教育センター員、経済学部教授)
伊藤 泰寿 (国際化推進機構事務部長)
コーディネーター 丸山 千歌
 (日本語教育センター長、異文化コミュニケーション学部教授)
司  会 保坂 明香 (日本語教育センター員、日本語教育センター教育講師)
対象者 本学学部生・大学院生・教職員、一般
申し込み 不要
使用言語 日本語、英語(英語から日本語への通訳あり)

レポーター:異文化コミュニケーション学部 4年次 古源菜歩

学生レポート

 皆さま、こんにちは。学生レポーターの古源菜歩です。今回の立教大学日本語教育センターシンポジウムは、国際化推進機構、法学部、異文化コミュニケーション学部、GLAPの共催のもと、「正規学部留学生受け入れの新時代4―『新たな』正規学部留学生のキャリア支援と日本語―」をテーマに開催されました。

 立教大学は、「新しい」グローバル・リーダーの育成を目指す全学的取り組みの一つとして、2022年9月に新しい外国人留学生受け入れ制度「Rikkyo Study Project (RSP)」をスタートさせました。これを受けて前回までのシンポジウムでは、本学が新たな留学生を受け入れる意義や日本人学生に与える効果などについて考えてきました。そこで今年度のシンポジウムでは、RSPで学ぶ「新たな」正規学部留学生の日本語とキャリア支援の可能性に焦点をあてて本学のRSP事業の一つであるPEACEプログラムとその可能性についての講演、日本語よりも英語運用力が高い正規学部留学生の可能性とキャリア支援についての講演、本学卒業留学⽣とPEACEプログラム教員との対談、英語トラックの正規学部留学⽣の⽇本語教育とキャリア⽀援の⽅向性についての全体討議が行われました。様々な立場からの意見交換を通して、多角的な視点を醸成しながら留学生のキャリア支援について考えることができただけでなく、今後の本学の国際化に向けた積極的な動きを一足早く知ることができる貴重な時間となりました。

 はじめに、日本語教育センター長兼異文化コミュニケーション学部教授の丸山千歌先生より、本シンポジウムの趣旨についてご説明がありました。特に、本学がこれまで推進してきたRSP事業の全体像について、詳しく紹介されました。本事業は2022年に始まり、日本語能力N3レベルの留学生が集中日本語講座を経て日本語トラックで学位取得を目指す「NEXUSプログラム」と、日本語能力を問わず英語トラックで卒業を目指す「PEACEプログラム」の2本柱から構成されているとのことでした。これまでのシンポジウムの変遷についてもご説明があり、2018〜2020年度には、NEXUSの受け入れを視野に入れ、各国から登壇者を招いて中等教育に焦点を当てた議論が行われ、2021年度には「グローバルコンピテンス」をテーマに、日本語教育を含む外国語教育全体について議論がなされたとのことでした。さらに2022〜2023年度には、日本人学生と留学生の協働に注目し、全学共通カリキュラム「多文化共生社会と日本」における学びの意義や、日本語教育センターが運営する日本語相談室での学生アドバイザー制度についても取り上げられたとご紹介いただきました。そして2024年度からは「キャリアと日本語」を軸に展開されており、昨年度は日本語トラックの外国人留学生へのキャリア支援が、今年度は英語の運用力が高い学生たちに向けたキャリア支援が主なテーマになると述べられました。年々発展を遂げる本学の国際化に向けた取り組みの意義と方向性を知ることができました。

 続いて、国際化推進機構長、GLAP運営センター長、法学部教授である松井秀征先生より、国内における大学の国際化と立教大学におけるRSP事業、特にPEACEプログラムに関するご講演を賜りました。はじめに、日本の大学が国際化を求められる現状を踏まえた上で、立教大学の現在の立ち位置について触れられました。文部科学省は大学の国際化において、研究水準の高度化、受け入れる留学生の増加、日本人学生の海外大学への派遣を推奨していますが、本シンポジウムの主な対象となる項目は留学生の受け入れに関する点だと述べられました。一方で、これらは一見独立しているように見えて、実は相互に関連し合っているとご説明いただきました。たとえば、研究水準を高めることで大学の魅力が増し、留学希望者の増加につながるほか、留学生と日本人学生が協働することで日本人学生の視野が広がり、海外進学への意欲も育まれるなど、これらの要素は常に連動しているという点が強調されました。また、人口減少・労働力不足が進行する日本社会で外国人が日本の大学に進学するという流れの中において、大学は「ゲートキーパー」としての機能を果たす必要があるとし、その中心的役割を担うのが「ことば」であると語られました。今後は、英語による研究環境の整備がより一層求められるとお話されました。続いて、本学で行うイニシアティブとしてのRSP事業についてご説明されました。特に、留学生が入学後の半年間で集中的に日本語を学び、日本語トラックで学位取得を目指すNEXUSプログラムについては、未だ卒業生を輩出していない段階であることから、「卒業生がでてきて、この成果がわかってくるだろう」との展望が語られました。最後に、PEACEプログラムについて、詳細と課題点をご共有いただきました。英語のみで学位を取得することが可能なPEACEプログラムは、現在、法学部、異文化コミュニケーション学部、GLAPで展開されており、香港や米国をはじめとした提携校の高校に加えて一般受験生も受け入れていることが紹介されました。プログラム名の由来が、Proactive, Ethical, Able, Collaborative, Engagedという入学される学生に持ってほしい5つの資質の頭文字で構成されているというご説明は非常に興味深いものでした。 また、PEACEプログラムに関する課題についても触れられ、その一つが学生の期待値と大学の考えの間に生じるギャップだと述べられました。具体的には、日本に強い関心を持ち、日本語を学びたいと考えて来日する学生が一定数存在するという現状に対して、大学側は当初、ある程度の日本語運用能力があれば良く、第三国や母国での進路も想定できるという考えのもとカリキュラムを構成しており、ここで生じている溝をどう埋めていくかが今後の課題であると述べられました。加えて、就職活動におけるャリア支援の必要性についても言及され、日本でのより良い就労に繋げるためにも支援体制の強化は急務であると強調されました。現在大学が取り組むこれらの課題は、単なるプログラムの課題にとどまらず、大学全体、学生個人、さらには国レベルの課題でもあるという認識が必要とのお言葉でご講演を終えられました。

 続くパートでは、株式会社ソーシャライズ代表の中村拓海さんより、日本企業に変化をもたらす留学生の活躍についてお話を賜りました。日本語よりも英語が得意な留学生の活躍の余地の大きさを具体的な事例を交えながら紹介されました。 留学生は一括りにされがちである一方で、その背景や属性は多様であると指摘されました。大学としてはマスでの支援も求められる中、個別性と集団支援のバランスをとるための仮説として、5つの要素が複雑に絡み合う課題を挙げられました。具体的には、①エントリーシートや適性検査などで求められる就職活動に必要な日本語力、②留学生を求める企業情報へのアクセス、③就活の準備に割ける時間、④経済的負担、⑤就労ビザの取得可否、これらを踏まえ、留学生の支援を考える際には、学部生か大学院生か、卒業時期、母国での職歴の有無、日本語トラックか英語トラックかなど、個々の条件を的確に捉えたうえで支援設計を行う必要があると述べられました。 中村さんは、日本語力が高くない留学生であっても、その他の能力と意志次第で日本社会において十分に活躍できる可能性があると述べ、いくつかの企業事例を紹介しながら、柔軟な採用の在り方を提示されました。共通しているのは、言語力に固執するのではなく、人物像や潜在的な能力に着目し、経営層主導で新たな可能性に挑戦する企業の姿勢です。特に、再現性のある業務にこだわるのではなく、予測不能な状況を楽しみながら形にしていくようなマネジメントが、留学生の活躍を後押しするとのことでした。また、採用後の定着に固執せず、離職後も関係を維持しながら共にプロジェクトを続けるといった柔軟な姿勢も大切であるというお話は印象的でした。最後に中村さんは、日本語よりも英語の方が得意な学生が活躍できる環境を整え、日本語力に不必要に固執している現状を変える必要があると強調されました。構想力と機会さえあれば、留学生の可能性はさらに広がり、ひいては日本社会全体の発展にもつながるという前向きな提言で締めくくられました。

 休憩を挟んだ後半では、「高い英語運用能力を生かして日本で働く卒業留学生のキャリア形成と日本語、そしてキャリア支援」と題したパネルディスカッションが行われました。会場では、異文化コミュニケーション学部公認団体RiCoLaSによるウィスパリング通訳が入り、全員が内容を理解し、意見交換ができるような設計となっていました。登壇者は、法学部教授の⽥岡絵理⼦先生、本学卒業生でアクセンチュア株式会社勤務のアリサ・タン・シャウニンさん、同じく卒業生でBuild Plus株式会社勤務のアレクサンドラ・チェン・ウェイミンさんの3名でした。

 アリサさんは大学4年の秋から就職活動を始めたものの、コロナ禍での難しさや不採用通知に悩まされた経験を共有され、アレクサンドラさんはマイナビやLinkedInを活用しながら、JLPTの壁やSPIに苦戦したことを明かしました。就職活動においては、言語力と同時に、適応力や対人能力が重要であり、インターンシップ経験の有無も大きく影響すると振り返りました。また、英語を主軸に就活を進めた場合でも、実際の職場では日本語による細かな配慮や社内文化への理解が求められる場面が多く、言語的・文化的な調整力の必要性も語られました。

 さらに、「自身の就活における後悔や、これから就活する学生へのアドバイスはあるか」という田岡先生の質問に対して、アレクサンドラさんは、「自分の興味ややりたいことを早い段階で見つけておくべき」と述べ、就職活動はストレスの多い過程だが、重く考えすぎず、自分を勇気づけることが大切、自分はすごいことに挑戦していると認める気持ちを忘れないでほしいと、心構えの重要性を語られました。 一方でアリサさんは、「もっと早く、2年生の段階でインターンシップに参加すべきだった」とし、インターンシップの経験が自身の興味を確かなものにし、面接での言語化や説得力のある説明にもつながると実体験を踏まえてお話しされました。また、国内就職を目指すのであれば、「日本語能力試験(JLPT)のN1レベルを取得しておくべきだ」との実践的なアドバイスもありました。最後に、大学への提言として、日本語能力の高低に関わらず学生が自信をもって就職活動に臨めるよう、インターンシップや職業体験の機会、日本語による履歴書指導や面接練習など、より実践的な支援の充実が望まれるとの意見が出されました。日本語能力だけに依存しない、多様なキャリア支援のあり方が問われていると感じました。

 最後に、お2人の総括と閉会の辞を経て本シンポジウムは閉会されました。 ⽇本語教育センター員であり経済学部教授の⼩澤康裕先生は、「大学がしっかりハブとして機能し、うまくつなげられる機能をつくっていきたい」と述べられ、学部・キャリアセンター・日本語教育センターが密に連携していく必要性を強調されました。また、国際化推進機構事務部⻑の伊藤泰寿さんは、大学としての立場から、企業と学生を繋ぐ中村さんの視点、そして当事者である卒業留学生の声を一堂に聴けたことへの意義を述べ、今後何をすべきかを改めて考える契機となったと締めくくられました。

 本シンポジウムを通して、留学生の就職支援をめぐる現状と課題が多角的に明らかになると同時に、大学としてどのように歩みを進めていくべきか、その方向性が共有される貴重な機会となりました。私自身も、学生レポーターとして参加するうえで、大学がまた組織として一歩前に進む瞬間に立ち会えたことにわくわくしました。RSP事業は今後もさらに進化を続け、留まることを知らないと感じさせるような可能性を秘めています。今回の議論が、より開かれた支援体制づくりの第一歩となることを強く期待しています。

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