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ホーム>イベント・事業報告>講演会・シンポジウム 講演会・シンポジウム日本語教育センターシンポジウム2026日本語教育センターの活動の社会還元として、またセンターのFDの一環として、講演会、シンポジウムを開催しています。 正規学部留学生受け入れの新時代5
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| 日 時 | 2026年7月18日(土)13:30~16:30 |
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| 場 所 | 池袋キャンパス マキムホール(15号館)MB01教室 ※M302教室から変更になりました。 ハイブリッド実施 |
| 主 催 | 日本語教育センター |
| 共 催 | 国際化推進機構 |
| 登壇者 | 小澤 康裕(日本語教育センター副センター長、経済学部教授) 西崎 純代(経済学部准教授) 黄 盛彬(社会学部教授) ダグラス シュールズ(経営学部准教授) 池田 伸子(日本語教育センター員、異文化コミュニケーション学部教授) 浜崎 桂子(国際化推進機構長、異文化コミュニケーション学部教授) フレルホヤグ ビルグーン(経済学部経済学科4年) チュオン ロン キム(経済学部会計ファイナンス学科4年) ナム フォン ミン(社会学部メディア社会学科4年) ヴー ゴック イェン チャン(経営学部国際経営学科4年) |
| コーディネーター | 丸山 千歌 (日本語教育センター長、異文化コミュニケーション学部教授) |
| 司 会 | 清水 慶子 (日本語教育センター教育講師) |
| 対象者 | 本学学部生・大学院学生・教職員、一般 |
| 申し込み | 【対面】不要(直接会場へお越しください。) 【オンライン】要(下記URLよりお申し込みください。) |
| オンライン参加 申込フォームURL |
申込受付は終了しました。 |
| 使用言語 | 日本語 |
レポーター:異文化コミュニケーション学部 4年次 柴谷瞳実
皆さま、こんにちは。学生レポーターの柴谷瞳実です。今回の立教大学日本語教育センターシンポジウムは、日本語教育センター主催、国際化推進機構共催のもと、「正規学部留学生受け入れの新時代5 ―NEXUSプログラム生が切り拓く立教大学と世界―」をテーマに開催されました。立教大学は、2022年9月に開始した外国人留学生受け入れ制度「Rikkyo Study Project(RSP)」を通じ、多様な国・地域から優秀な正規学部留学生を受け入れてきました。日本語教育センターでは2019年度より本シリーズのシンポジウムを継続開催しており、今年度は完成年度である4年次を迎えたNEXUS1期生と学部教員が一堂に会しました。NEXUS生自身の学びと成長の軌跡をはじめ、国際共修科目の変遷、学部教員によるパネルディスカッション、国内外の参加者を交えた全体討議、そして事業の歩みを振り返る総括を通して、NEXUS生のポテンシャルやRSP事業が本学と世界に与える意義・課題について多角的な討議が行われました。多様な視点からの議論を経ることで、留学生と日本人学生が共に高め合う「共修」の可能性を実感するとともに、立教大学が拓く国際化の新たな未来を展望できる貴重な時間となりました。
冒頭では、日本語教育センター長であり異文化コミュニケーション学部教授の丸山千歌先生より、本企画の趣旨について説明がありました。本学が2022年9月に開始した新たな外国人留学生受け入れ制度「Rikkyo Study Project(RSP事業)」には、海外協定校からの推薦を経る「NEXUS」プログラムと、入学時点での日本語能力を問わない「PEACE」プログラムという2つの枠組みがあり、多様で優秀な留学生の受け入れを推進しています。今回着目するNEXUSプログラムに関して、日本語教育センターではこれまでシンポジウムを重ね、現地教育の背景理解から日本人学生との「共修」、さらにキャリア形成へと議論を発展させてきました。丸山先生は、これらの取り組みから得られた知見として「多様で優秀な留学生の実像理解」「日本人学生との協働が生む相互の深い学び」「学びと成長を踏まえたキャリア支援の推進」の3点を挙げられました。また、1学期目に日本人学生と共に学び合う「多文化共生社会と日本」などの特徴的な科目の存在にも触れられました。本年はNEXUS 1期生が4年生を迎える節目であり、これまでの歩みを振り返り今後の展望を多角的に討議する絶好の機会であることが示されました。
次に、「NEXUS生が学ぶ本学の学び」と題して、NEXUS1期生によるパネルディスカッションが行われました。登壇者は、経済学部経済学科4年のフレルホヤグ ビルグーンさん、経済学部会計ファイナンス学科4年のチュオン ロン キムさん、社会学部メディア社会学科4年のナム フォン ミンさん、経営学部国際経営学科4年のヴー ゴック イェン チャンさんの4名でした。
1人目の登壇者として、韓国への留学先からオンラインで参加されたフレルホヤグ ビルグーンさん(以下、ビビさん)よりお話を伺いました。ビビさんは経済学と副専攻のデータサイエンスを通じて実践的スキルを修得し、西崎純代先生のゼミや語学学習など主体的に学びを深めたことを報告しました。日本語力についても、アウトプット重視の教育によりアカデミックレベルまで向上したと振り返りました。人間関係においては、西崎ゼミの1期生として他のゼミ生と絆を深めたほか、レジデントサポーターを務め、自身の経験を生かして後輩留学生の支援に尽力したエピソードを紹介し、多様な言語や人との繋がりを得て目標を大きく達成できたと総括されました。そして下級生に対し、4年半はあっという間であるため、自身の可能性を広げるチャンスを積極的に掴んでほしいとメッセージを送られました。
2人目の登壇者として、チュオン ロン キムさんよりお話を伺いました。数学が好きなロンさんは、経済学部で会計などの確実な学びと、正解のない「人間の行動」に関する学びを通じ、不確実性に耐える力を養うことができたと報告しました。当初はご家族の勧めで選んだ分野でしたが、世界を幅広く学ぶ中で経済学への情熱を深められたそうです。日本語力については、ゼミでの議論や日本人学生との交流を通じ、教科書では得られない実践的な運用力を大きく伸ばしたと振り返りました。人間関係においては、全カリの英語授業を通じて留学生の友人と絆を深めたほか、ゼミ合宿などで日本人学生と寝食を共にし、生きた日本語やカルチャーに触れた経験が貴重だったと語られました。最後に、目標は状況に合わせて柔軟に書き直してきたとし、下級生に向けて「予期せぬ変化があっても自分を責めず、目の前の大学生活を思い切り楽しんでほしい」と温かい言葉を贈られました。
3人目の登壇者として、ナム フォン ミンさんよりお話を伺いました。フォンさんは高校時代の興味から社会学部を選ばれ、多様な価値観に触れる中で、ひとつの正解を追うのではなく背景を疑う批判的思考を養うことができたと報告しました。社会学特有の専門用語や講義のノートテイクには苦労したものの、事前学習や先生への質問を重ねて乗り越えられたそうです。周囲とのつながりにおいては、漢字表記等で配慮してくれた友人や、ベトナムの文化を授業や交流会に取り入れてくれた親しみやすいゼミの黄先生のおかげで打ち解けられたと感謝を述べられました。また、国際センターや国際化推進機構、日本語教育センターのサポートも大きな心の支えになったと振り返られました。最後に、これまでの歩みに誇りを持っていると総括され、下級生へ「日本語が上達してからではなく、まず挑戦したからこそ成長できた。苦しくても何とかなるので前に進んでほしい」と力強いエールを送られました。
4人目の登壇者として、ヴー ゴック イェン チャンさんよりお話を伺いました。チャンさんはカフェ経営の夢を抱いて経営学部に入学され、全カリでの異文化理解や大人数の前でのプレゼン、ゼミでの実践的な商品企画などを通じて主体的に学びを深めることができたと報告しました。またACEプログラムでの海外留学にも挑戦し、語学学習への意欲を高められたそうです。日本語運用力についても、バイト先での接客経験などを通じて成長を実感しており、NEXUSでの最初の半年間が自身の基礎を築いてくれたと振り返りました。周囲とのつながりにおいては、全員が日本人の学生団体に唯一の留学生として参画したエピソードを紹介し、言葉の壁を乗り越えて運営に携わり、留学生視点での意見を提示できたと語られました。最後に、留学生活を思い切り楽しむという目標の達成を実感しつつ、下級生に向けて「勉強はもちろん、人間関係の構築や興味の追求を通して視野を広げてほしい」とメッセージを贈られました。
池田先生からは、NEXUS生と日本人・日本語上級留学生が共に学ぶ国際共修科目を担当された4年間の実践と、その中で抱かれてきた課題意識や授業設計の変遷についてお話しいただきました。紹介いただいた授業は、NEXUS生向けの科目と日本人学生向けの科目という異なる目標を持つ2科目を同じ教室で立体的に展開するものです。池田先生は、単に同じ場に集う「共存」から相互理解を生む「共修」へと進化させる重要性を認めつつも、学びを「異文化理解」にとどめず、学生個々のマインドセットや行動に焦点を当てる「協創」へのシフトを図ってこられました。初期には「自分の当たり前を問い直す」という意識変化が見られたものの、評価を意識するあまり「変容を演じる学生」を生み出してしまう懸念や、教員がファシリテーターになってしまうことへの限界など、新たな葛藤が生じたことを明かされました。こうした葛藤を経て、「協創エージェンシーの形成」という更なる展望をご提示なさいました。全参加者が互いに学び合い責任を負う姿勢を構築するため、自らの語りを問い直すメタリフレクション等を導入し、教室外でも自律的に行動できる高度な学びを追究するに至った経緯が紹介されました。 私もこの科目を履修した経験があり、振り返ると自分の考えが「変化した」というその結果を重要視するのではなく、「なぜ変わったのか」であったり、そもそも「なせこのような考え方をするのか」という思考の過程や理由に着目していたことに気づかされました。
シンポジウム後半は、「学部教員が語るNEXUSプログラム」と題して、NEXUS生のゼミ等を担当された学部教員によるパネルディスカッションが行われました。登壇者は、小澤康裕先生(経済学部教授)、西崎純代先生(経済学部准教授)、黄盛彬先生(社会学部教授)、ダグラス・シュールズ先生(経営学部准教授)の4人でした。
小澤先生からは、ロンさんの指導経験を通じた成長と共修環境のあり方が語られました。ロンさんは高い日本語運用力で周囲の日本人学生を牽引し、合同ゼミでもレベルの高い発表をリードしてきたと評価されました。また野心的な卒論執筆に取り組む中で、学生同士が場面に応じ支える側と支えられる側を柔軟に入れ替えながら協働する姿こそが、真の「共に学ぶ環境」であるという考えを提示なさいました。最後に、高い能力を持つNEXUS生の受け入れは大学にとって大きなプラスであり、彼らの潜在能力を最大限に引き出すとともに、日本人学生側も良い刺激を受けて共にレベルアップしていくような環境づくりが重要であると強調されました。
西崎先生は、ビビさんの学びの姿勢やゼミへの貢献、環境設計についてお話しくださいました。ビビさんは高い主体性と批判的思考を持ち、本質的な問いを投げかけることでゼミの議論を深め、学習情報を共有し合う温かい文化を定着させてくれたと評価なさいました。こうしたNEXUS生の存在は大学にとって大きなプラスであり、彼らのポテンシャルをフルに発揮させる環境設計が今後の課題であると指摘なさいました。関心を向けにくい層との歩み寄りの重要性を挙げつつ、母校での広報活動などを通じて大学へ貢献し続けるビビさんの姿勢を紹介なさり、敬意をもって発言を締めくくられました。
黄先生からは、フォンさんの高い分析力や、留学生を取り巻く社会的状況・学習環境に関する考察についてお話がありました。フォンさんが高い基準で卒論に取り組む姿を評価しつつ、留学生を一括りにせず「個人の多様性」に配慮することの重要性を指摘されました。また社会全体の保守化や排外主義的な雰囲気が留学生の精神的負担になり得ることの懸念を示し、実際に留学生が感じたことや留学経験に関する感想など、彼らの「生の声」に耳を傾け、本当に抱えている課題を丁寧に捉える必要性を訴えられました。最後にご自身の学部を例に、基礎演習で留学生を複数名配置にする議論などを紹介され、他大学との比較を通じて本学の特性をとらえ、NEXUS生の能力を活かせる最適な配置と環境を追求すべきだと提示されました。
シュールズ先生からは、チャンさんのリーダーシップや、プログラムが持つ社会的価値についてのお話がありました。チャンさんは経営学部で培った力を活かし、グループワーク等で日本人学生と留学生の橋渡し役を見事に担っていると評価されました。また共生環境の実現に向けては、自身の経験を踏まえ、留学生に対する学業面のみならず生活支援や就職活動サポートの充実が不可欠であると指摘なさいました。最後にNEXUSプログラムについて、キャンパス内での深い交流や学び合いが、将来的にビジネス等の観点からも日本と世界を繋ぐ大きな力となり得ると期待を示されました。
その後、会場の参加者や教育関係者を交えた全体討議および質疑応答が行われました。一般参加者からは、NEXUS生とその他の留学生との違いや傾向についての質問が上がりました。これに対し、入試制度等の入り口に違いはあるものの、特定の明確な傾向差があるわけではなく、あくまで個人の目標設定や学びの姿勢といった個性の違いが大きいことが示されました。両者を単に二項対立で捉えるのではなく、互いに刺激し合って成長していく関係性として捉える重要性も確認されました。また、選抜については海外協定校からの推薦等を基盤とし、多様なバックグラウンドを持つ学生を幅広く受け入れることを大学として意識している旨が説明されました。続いて参加者からの感想として、スポーツウェルネス学部のライトナー先生からは、ご自身の留学経験と重ね合わせながら日本語で懸命に学ぶNEXUS生の姿に感銘を受けたという発言がありました。こうした留学生の存在は日本人学生や教員にも好影響を与えるため、自身の学部でもぜひNEXUS生を受け入れたいという期待や、より良い学習環境づくりの重要性についても指摘をなさいました。また、海外の高校関係者である、ルッシー先生からは、今回のシンポジウムでの学びの深さに感謝が述べられるとともに、自校の出身生が立教大学で充実した学生生活を送り、成長している様子への感謝の意が表されました。
最後にお二人の総括と閉会の辞を経て、本シンポジウムは閉会しました。伊藤泰寿氏(国際化推進機構事務部長)からは、プログラム立ち上げ当初から見守ってきた1期生が、高い質の学業にとどまらず自ら学外へ再留学したりサポーターを務めたりと目覚ましく活躍していることへの深い感慨が示されるとともに、そうした学生たちの存在が日本人学生に大きな刺激を与え、大学側の新たな制度整備を促す原動力になっていることが語られました。 浜崎桂子先生(国際化推進機構長、異文化コミュニケーション学部教授)からは、優秀なNEXUS生が教員や日本人学生にも新たな気づきや成長をもたらしている現状を踏まえ、世界で分断や排斥的な動きが深まる今だからこそ安心できる学びの環境を整え続ける重要性が説かれ、1期生の完成年度を迎えた今後も多様な留学生が全学で共に学ぶ理想のキャンパス像に向けて新しいマインドセットで取り組んでいく決意が述べられました。
このシンポジウムへの参加は、私にとって、NEXUSプログラムが単なる留学生受け入れの枠組みにとどまらず、日本人学生や教員をも巻き込んで新たな学びを創り出す「共修」の場へと進化していることを実感する機会となりました。NEXUS生のチューターを務めた経験を持つ私が、学生レポーターとして参加する中で、高い志を持つNEXUS生たちの目覚ましい成長や、彼らがキャンパス全体に与える大きな刺激と熱量を肌で感じました。1期生が完成年度を迎えたRSP事業は、これからも多様な価値観が混ざり合う豊かな大学の未来を創り続けていくと感じています。今回の議論が、更なる理想のキャンパス環境づくりに向けたさらなる大きな一歩となることを強く期待しています。