センター長メッセージ
国境を越えた人の移動、技術の進歩による情報伝達スピードの加速化、それに伴って生じる様々な変化や課題。21世紀はますます不透明で将来が予測困難な時代となっています。
立教大学では、これからの世界に必要とされる人材とは、自ら考え、行動し、世界と共に生きることのできる人材であるととらえ、すべての卒業生が社会全体のグローバル化に貢献できる力を育成しようとしています。
日本語教育センターは、2011年の設立以来、私たちがどのように本学の国際化、そして本学が育成しようとしている「新たなグローバル・リーダー」の育成に貢献できるのかを考えてきました。
日本語教育を担う組織としては、学習者のニーズに対応する9段階のレベル設定や初級レベルの学生から履修可能なコンテンツ科目の設置、立教独自の漢字検定試験の実施、日本人学生と留学生が協働する初級レベルから参加可能なスピーチコンテストの開催、日本語学習を支援する日本語相談室の運営、本学の様々な学部の教員による専門講義とフィールド・トリップを組み込んだ短期プログラムの実施、そして大学の中にある組織としては、留学生と日本人学生が共に学びあう環境の創出です。留学生と日本人学生がペアになって出場するスピーチコンテスト、通常クラスや短期プログラムへの日本人学生の参加などがその一例といえます。日本語教育センターが核となり、日本人学生と留学生の交流の機会を提供することで、双方がそれぞれの持つ言語や文化の価値に気づき、同時に他者の言語や文化についても理解を深めていくことのできる場を広げてきました。
2022年、本学は新たな国際化のステップに入りました。その結果、これまでより多様な日本語レベルの留学生を正規留学生として各学部が受け入れています。日本語教育センターでは、新たに本学に入学する留学生が本学、そして日本に着地し、日本人学生と豊かな学びを経験するための日本語科目を、受け入れ学部と協力しながら開発していきます。そこでは、受け入れ学部の日本人学生が留学生と共に学ぶ仕組みを作ります。さらに、日本人学生が単に留学生との交流を経験することを超えて、彼らの経験や気づきを自身の行動へとつなげていくための新たな学びの仕組みをスタートさせます。
また、本学で学んだ留学生が日本とつながり、日本国内外で活躍していくための支援についてもこれまで以上に取り組んでまいります。単なるキャリアやビジネス日本語教育にとどまらず、留学生が日本とつながるために必要な教育の形とは何かを関係部署と協力しながら開発していきます。
本学が育成しようとしている「新しいグローバル・リーダー」とは、自分が住んでいるどんな場所でも力を発揮できる人材です。そして、そのような人材を育成するためには、大学という場で、留学生と協働する経験から様々なことに気づき、多くを学び、そしてそこで得た姿勢や態度を「行動、変革」へとつなげていくための「協創」の枠組みが必要です。
これからの日本語教育センターは、「協働から協創へ」をキーワードとして、大学の日本語教育組織としての役割をしっかりと果たしていきます。これからも進化を続ける日本語教育センターに、ご支援、ご協力のほどお願い申し上げます。
日本語教育センター長
池田 伸子
↑ページトップへ