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講演会・シンポジウム

日本語教育センターシンポジウム2013

日本語教育センターの活動の社会還元として、またセンターのFDの一環として、講演会、シンポジウムを開催しています。

海外の大学が日本の日本語教育機関に期待すること

日  時 2013年12月21日(土)13:00~17:00
場  所 池袋キャンパス 5号館5122教室
主  催 日本語教育センター
共  催 小出記念日本語教育研究会、日本総合学術学会
シンポジスト 日暮 嘉子氏(サンディエゴ州立大学教授、日本国際交流プログラムディレクター、アメリカ州立大学連合『日本研究セミナー』ディレクター)
大島 弘子氏(パリ・ディドロ(パリ第七)大学准教授)
徐 敏民 氏(華東師範大学教授、日本語教育研究センター主任)
レベッカ スーター氏(シドニー大学助教授)
小澤 伊久美氏(国際基督教大学講師)
池田 伸子(前日本語教育センター長、異文化コミュニケーション学部長)
コーディネーター 丸山 千歌(日本語教育センター長、異文化コミュニケーション学部教授)
司  会 平山 紫帆(日本語教育センター員、ランゲージセンター教育講師)

*シンポジウム冊子はこちら

レポーター:異文化コミュニケーション研究科言語科学専攻1年次 工藤詩織

学生レポート

丸山千歌教授
日本語教育センター長

本学の日本語教育センターが設置され3年が経過し、第2回目となる立教大学日本語教育シンポジウム。今回のシンポジウムは、「グローバル化が進行する中で、日本の大学における日本語教育はどうあるべきなのか」という問題を様々な角度から掘り下げるべく、「海外の大学が日本の日本語教育機関に期待すること」がテーマとなりました。 北米から日暮嘉子先生、ヨーロッパからは大島弘子先生、東アジア地域から徐敏民先生、そしてオセアニアからはレベッカ・スーター先生と、各地域の第一線でご活躍の研究者から、「各地域の日本語教育の動向とこれからの発展の可能性に示唆を与える活動例」を伺いました。 さらに、小澤伊久美先生による大学の国際化に向けた「プログラム評価」についてのお話、続けて、本学の取り組みに関するご報告が本学異文化コミュニケーション学部長であり、前日本語教育センター長の池田伸子先生が続き、最後に全体討議という流れでした。本レポートでは実際にお話された順序ではなく、本学日本語教育センター長を務める丸山千歌先生が本シンポジウムの趣旨として掲げられた、

  1. 日本語学習者を核とした活動について
  2. 日本語教育分野から外への働きかけについて
  3. 日本語教育センターの取り組みの位置づけと展開について

以上3点に沿って、パネリストの先生のご講演内容を整理しご報告したいと思います。

 1点目の「日本語学習者を核とした活動」については、大島先生、徐先生、スーター先生が言及されました。フランスにおいてご活躍の大島先生は、「移動する学習者が日本研究を核として学び続けるための取り組み」について、本学に留学経験を有する学習者の留学中の日本語クラスや研究生活に対するコメントを、その背景となる母国フランスでの日本語教育と照らし合わせながらご報告されました。 日本語クラスのレベルやペースが学生の研究生活に影響を及ぼしている点や、留学生とチューターの専門性の不一致といった問題にまで切り込み、国内外の教育機関の連携を考える上でも示唆に富んだお話でした。また、中国の徐先生は、「教材開発・教師研修に関する国際連携の事例」をご紹介されました。 教材開発に関しては、立教大学と華東師範大学の連携プロジェクトとして、コミュニケーションを重視する日本語教科書『新界標日本語』の開発プロジェクトが進行しています。こういった共同プロジェクトの継続と、発信力と国際感覚を持ち合わせた人材の育成の重要性を示されました。そして、スーター先生からは、学位、シドニー大学における「ダブルディグリー」への取り組みについてお話がありました。 3人の方々のお話に共通しているのは「教育の充実には『外部との関係構築』が不可欠である」と認識されている点であると思いました。
 2点目の「日本語教育分野から外への働きかけ」については、日暮嘉子先生から、大学外への働きかけと教養教育という日本研究を取り込んでいくための活動についてのお話がありました。 日暮先生は国際交流プログラムディレクターとして北米地域の大学と日本の大学間の繋ぎ役としてもご活躍され、単なる留学だけでなく、短期インターンシップの提供といった多様で柔軟な連携を実現するべく各機関へ働きかけに尽力されています。 また、「日本語単独の栄枯盛衰に振り回されるのではなく、中国語や朝鮮語なども包括した「アジア全体」という枠組みの中の一言語としてとらえ、アジア地域へ目を向ける学習者・研究者が増えていくことに意義がある」といったご意見は大変参考になりました。
 そして、3点目の「日本語教育センターの活動の位置づけと展開」では、小澤先生による「プログラム評価」の観点からのお話がありました。小澤先生は「プログラム評価」の定義からその意義や具体的プロセスまで、簡潔なお言葉でご説明してくださり、国際通用力の向上を目指す日本の大学に対して、「小さな取組みから評価を実施し成功体験を積み重ねた上で、環境の整備を進めていくことが必要である」と論じられました。
 以上の5名のパネリストの先生方からのお話を受けて、本学異文化コミュニケーション学部長であり前日本語教育センター長の池田先生から、立教大学日本語教育センターの理念と今後の展開に関する報告がありました。先生は「教育・評価・研究・開発という4本柱に支えられた『成長し続ける日本語教育センター』として、センターの役割を認識し海外からのニーズに応え続けることで、キャンパスの「真の国際化」に貢献していく」と力強く述べられました。

 最後の全体討論では、「立教大学だからできること」、「日本語教育が中核となってできること」をテーマに会場全体で意見が交わされました。特に、立教大学外の方々から「立教大学の強み」に関しては、「立教大学の立地一つをあげても、海外の学習者へアピールできる要素である」といった意見や、私立大学の中でも比較的規模が小さい本学の日本語教育は、「多様な背景を持ち合わせた留学生に対する『小回りの効く対応』を強みとしてアピールできるのではないか」といった意見が挙がり活発な議論がなされました。

 開会の際、吉岡総長からご指摘があったように、「大学の国際化」を考える際、どうしても「英語力の強化」が中心的に語られがちです。現に、本学に対して「英語の立教」といったイメージを持つ学外の方も多いのではないでしょうか。しかしながら、日本語教育を専攻している一学生としては、世界に対して「日本語の立教」というもう一つの顔を誇れるような大学であって欲しいと思います。また、全学共通カリキュラム運営センター部長の青木康先生のお言葉にもあったように、今回のシンポジウムで語られたことは、「一人一人の学生をよく見る」といった、日本語教育という枠組みに留まらずあらゆる教育分野で議論が可能な本質的な問題であったと思います。さて、第3回シンポジウムが開催される頃には、本学の日本語教育はどのような発展を遂げているのでしょうか。大いに期待を抱きながら勉学に励もうと思います。



日暮嘉子氏
サンディエゴ州立大学

徐 敏民氏
華東師範大学

小澤伊久美氏
国際基督教大学

大島弘子氏
パリ・ディドロ大学

レベッカ・スーター氏
シドニー大学

池田伸子教授
前日本語教育センター長

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